「陽が戻ってきたね。上手いこと影に入りながら観てや」とステージに登場するや否や人懐っこくオーディエンスを気遣ったのは、シンガーソングライターの岩崎愛。だが一転、いざ歌い出せばそのしなやかな歌声に誰もが耳を奪われる。まるで強い日差しをしのぐジャイガのオアシスのように、心地いいグッドミュージックが胸に染み渡っていく。

そんな『サマーデイ』に続いては、「1人やけど、1人じゃないみたいなことをやります」と、アコースティックギター、ギターのボティタップ、コーラス…とループマシンで音を重ねながら、アデルの『Send My Love』のカバーを。素朴な音で構成された人肌のビートは、楽曲×歌声の魅力に優しく寄り添うよう。そのままギターのストロークからゆっくりと始まった『嘘』では、MCで何も伝えずとも、歌で全てが伝わってくる切ない風景が、問答無用の感動を連れてくる。

ここで、「暑い！　すごいなみんな、朝からおるの？　私は(GIGANTIC STAGEのライブの)間の時間をいただいてるから、ちゃっちゃとやるね」というMCに反応したお客さんからの「エー！」に、思わず彼女も「もうみんなにディープキスしてやりたいわ！(笑)」と喜びを隠せない。さらには、「大阪でしかやれないことを！」と、“551があるとき／ないとき”コール&レスポンスをぶっこみつつ(笑)、ラストの『ALL RIGHT』では自然とクラップが沸き立つアットホームな雰囲気に。

そして、“Everything’s gonna be All Right!”という歌詞の一説を“何とかなるさ大丈夫”と日本語詞に変え、それをオーディエンスが思い思いにコーラスする光景には、再び彼女の顔がほころぶ。その後も「YAH YAH YAH YAH YAH YAH YAH〜♪　人の曲っ！(笑)」や『どんぐりころころ』をもじったりと、もうやりたい放題！

僅か20分間で観る者を虜にした、岩崎愛の音楽と人となり。ステージを足早に去っていく最後の最後まで、終始笑顔と歌声の絶えない最高のチルタイムとなった。

Writer 奥“ボウイ”昌史、Photo HOSHINA OGAWA