SEを背に次々とメンバーが現れ、最後にパナマハットをかぶった夏仕様のマオ(vo)が登場すると、ひときわ大きな歓声が！　最高気温38℃というこの夏一番の真夏日に、しょっぱなから『ANNIVERSARY』『嘘』と清涼感たっぷりの歌声とサウンドを、オーディエンスの疲れた身体に染み渡らせていったのがシドだ。曲間に笑顔で手を振るマオも、まぁニクいぐらいに色男で夏男。

「今日は大阪のこんな素敵なイベントに呼んでいただいてありがとうございます！　シドも出演者の1組として、最後まで盛り上げたいと思います!!　次は若干マニアックな曲ですが、どうしても今日届けたくて持ってきました」(マオ)

ここでShinji(g)の爪弾くアコースティックギターから、『すぐ傍で』へ。爽やかさと切なさが同居するこのメロディが広がっていく光景を観ると、シドが今日という日にこだわったのも納得だ。続いては「ライブでやるのは初めて」(マオ)と、先日リリースされたばかりの新曲『螺旋のユメ』を披露。流麗なストリングスをバックで同期させながら確かなバンドサウンドを鳴らすスタイルは、ポップスのシーンでもしっかり戦える筋力を備えたシドならでは。『V.I.P』でも、ステージを横断するマオのフロントマンとしての華とリンクして躍動する楽曲が、舞洲の巨大な大空に溶け込んでいく。

「やっぱり野外は気持ちいいですね。今日は天候に恵まれて、こんな青空の下でお客さんと一緒にライブができて最高でした！　皆さんに最後にこの曲を届けて帰ります」と、大きな舞台で、両手をいっぱいに広げるマオ。アコースティックギターの儚い音色が誘う壮大なスケールの『光』は、フィナーレにふさわしいドラマティックなバラード。何度も客席に「ありがとう！」と伝えてステージを去ったシドだった。

自身の単独公演でアリーナを回れてしまう上に、イベントではなかなか観ることのできないバンドを引っ張り出したジャイガと、それに応えたシドのイイ関係。この日のシドのライブも、ボーダレスに自らの音楽とスタンスを確立しているアーティストを集めた、ジャイガゆえに生まれたワンシーンだったと言えるだろう。

Writer 奥“ボウイ”昌史、Photo 森 好弘