空がグラデーションを描く最高のサンセット。そんなMAISHIMA STAGEに響く歓声に迎えられながら、颯爽とメンバー4人が駆け込んでくる。これから始まるKEYTALKの祭に誰もが期待と高揚感を隠せない。

「大丈夫ですか？　疲れてないですか？　でも俺らが躍らせちゃうから覚悟してついてきてください！」(寺中・vo&g)

 

そう言って1発目に打ち上げられたのは『桜花爛漫』。“ほら ひらりひらり風に舞う 君の声に手を伸ばして 今すぐ”という歌詞通り、吹き抜ける風の中を多くの手が舞う。その光景をステージ上から噛み締めるような小野(g)のギターが次の曲へ誘う。

寺中の「さぁさぁ皆、両手を高く上げて！」の言葉を皮切りに、『Summer Venus』が繰り広げられ、リズムに合わせて首藤(vo&b)、寺中、小野が身体を左右に揺らしたかと思えば、八木(ds)がドラムを轟かせる。そんな彼らのステージの楽しみ方を十分に心得ているオーディエンスは、難なくクラップを共鳴させ、もう待ちきれないと言わんばかりにモッシュが客席に起こり、曲の後半には片足を上げてジャンプするパフォーマンスも観せ、さらにヒートアップ！

「次の曲は皆でジャンプ、ジャンプ！　ハッピーな空間を作りましょう！」(首藤)

 

この言葉を合図に、『Love me』が始まると客席には巨大モッシュサークルが出現！(ケガなどには十分お気を付けくださいね！)　夏フェス特有の解放感もドーピングとなり大きく揺れ動く荒波を、祭という船で舵を切るKEYTALK。続けて矢継ぎ早に言葉を撃ち込んでくる『YURAMEKI SUMMER』では、寸分違わぬ合いの手が入り、彼らがどれだけ愛されているのかがひしひしと感じられた。ギターソロでは首藤と寺中がコミカルに煽り、寺中の力強く伸びやかなハイトーンボイスで楽曲のラストを飾る。

 

「めっちゃ楽しい！　ありがとう!!」(小野)

 

と、本当に嬉しそうに笑顔を見せると、まさにこの日、この場所、この時間にぴったりのタイトル『黄昏シンフォニー』を投下し、多幸感溢れる空気で会場を一つにする。そして「知ってる人も知らない人も楽しんでください」(首藤)と新曲『Cheers!』を放ち、激しい4つ打ちのビートに乗せながらステージの後半戦を、彼らの未来をさらに盛り上げてゆく。そして夕焼けを目の前に、

 

「ちょっとシチュエーション良過ぎません？　ねぇ？」(小野)

 

「沈みかけの太陽、その下には山、その手前には海…そして目の前には、僕らの音楽を聴いてくれる皆さんがいます！」(寺中)

 

ってめちゃめちゃ上手いことまとめたのに(笑)、ここからは小野の独壇場オンステージの嵐！　“Everybody ぺーい！”のコール＆レスポンスをしたり、憧れの先輩バンドのMCを真似てみたり、去年のジャイガに来た人、KEYTALKのライブを初めて観る人…と挙手制を始め、10回以上観てる人、100回以上観てる人、とだんだん手の挙がる数が少なくなってきたところで、

 

「1,000回以上観てる人…(挙がった手の数が)さっきより増えとるやないかーい!!」(小野)

 

と、何とも言えない茶番で客席の笑いを誘い、愛すべきキャラクターを存分に発揮して場を和ませる。沈む太陽に向けて歌われたのはお祭好きに捧ぐその名も『MATSURI BAYASHI』！　ここまで各曲ごとにモッシュサークルが生まれていたのだが、終盤を迎えたこの場を惜しむように咲いては閉じてを繰り返し、地上の花火と化してゆく。客席を煽り、観客が応えるという感情の交換を幾度も繰り返し、蓄積された興奮の渦は最後の最後、『MONSTER DANCE』で大爆発！

‘18年、最高の夏祭を見事に贈り届けてくれたKEYTALK。締めくくりは八木の「ありがとうございました!!」の一声がオフマイクで会場に響き渡り、彼らを讃える拍手がオーディエンスから贈られた。

Writer:松川 沙織、Photo:日吉“jp”純平