[8.4 sun] 魂に響く圧倒のステージの数々! 今年も『ジャイガ』の熱い夏が完結!

今年始動した、『GIGA DREAM PROJECT』。今回はダンスの振付・演出・プロデュースに、あの“バブリーダンス”の生みの親、akane(アカネキク)を大抜擢。家族のため、自分のため、そして夢のため。未経験者からプロを志す者まで、経験を問わずに集められた有志たちが、今日もGIGANTIC STAGEのオープニングを飾る。昨日とはまた違った面持で、色とりどりの衣装を身にまとい、渾身のステージへ。マルーン5の『Lucky Strike』に乗って、バブリーダンスお決まりの振付も交えながら次々にパフォーマンスを繰り出す中、極め付けにはブレイクダンスやバク転まで披露! 人数に対してステージは決して広いとは言えないかもしれないが、それでも縦横無尽に、弾けんばかりの笑顔でダンスに熱中する姿は、観る者の心を揺さぶったに違いない。溢れる拍手と歓声の中、最高のステージを観せてくれた。

photo by 日吉”JP”純平、キシノユイ

 

本番前からGIGANTIC STAGE前は、日本が誇る最強のモンスタースカバンド、東京スカパラダイスオーケストラの登場を待ちわびるオーディエンスで既にいっぱい。大きな拍手と歓声に迎えられ、「Are You Ready OSAKA!?」(谷中・B.sax)の声を合図に、『Are You Ready To Ska?』でトップギアを入れてくる。さらに『Glorious』『Call From Rio』と、どこまでも昇天しそうな極上の時間が流れたかと思えば、「まさにパラダイスみたいな場所にぴったりの曲を持ってきました!」(茂木・ds)と『銀河と迷路』を披露し、会場中の人間を喜ばせてくれる。そこからスカパラの鉄板とも言える『Paradise Has No Border』『遊戯みたいにGO』とノンストップで駆け抜け、曲によって移動できるメンバーが実に楽しそうにステージを闊歩する。それに呼応するオーディエンスのスカダンスにより会場に砂煙が舞い、掌が舞い、色鮮やかなタオルが舞う。世界からも認められる東京スカパラダイスオーケストラ――。技術や経験値はもちろんのこと、最高のライブバンドであることを改めて思い知らされたステージだった。

photo by 日吉”JP”純平

 

お次に登場するのは、2年連続出演となる大阪出身の3人組ボーカルユニット、ベリーグッドマン! ステージに佇むBDJ&DJのMANA-Bの元に、MOCA、HiDEX、Roverが姿を現す。「大阪いくぞー!」(MOCA)と『Mornin’ -Remix-』開始すぐにクラップが一斉に鳴り響き、一心不乱に飛び跳ねろという煽りにオーディエンスも全力で応え、舞洲が揺れる。そこからは彼らの持ち味、そしてライブの武器でもある名曲の替え歌コール&レスポンスが繰り広げられ、最高のバイヴスを生み出してゆく。かと思えば「僕らのライブ初めて観た人いますか?」(Rover)の問いに8割ほどの(!)人が手を挙げ、すかさずMOCAが「恥ずかしいからもう下ろして!!」と、嘆く場面も(笑)。その後はファンからも喜びの声があがった『ライオン』、NHK『みんなのうた』に抜擢された『大丈夫』と、3人のハーモニーでしっとり聴かせる。一転、『Supernova(KSUKE Rimix)』では再び沸点を戻し、MOCAが客席に降りたかと思えば担がれながら歌い、その周りにどんどんサークルができていく野外ならではの嬉しい光景も。「今ずっとお客様がMOCAを腕1本で支えてくれてた」(Rover)、「今撮ってくれてるカメラマンさんが口ずさんでくれてます!」(MOCA)など、終始会場にいる人を誰1人残さずに巻き込んでいくライブに、ベリーグッドマンが多くの人に愛され続けている理由が詰まっていた。

photo by 日吉”JP”純平

 

昨年バンド史上初の武道館ワンマンを大成功におさめ、新たなフェーズへと向かうcoldrainが舞洲に帰って来た。リハーサルではなぜかマキシマム ザ ホルモンの『絶望ビリー』を歌い、会場にどよめきを呼ぶ。Masato(vo)の激しい煽りから強大な起爆剤『ENVY』が投下され、非日常な空間に客席がみるみるうちに解き放たれていく。「俺たちは爽やかにはなれないけど、どうせだったらあなたたちと一緒に死ぬつもりでライブやるんで。かかってこいジャイガー!!」と、Masatoが放つ言葉に、客席にはもう何度目かの巨大モッシュサークルが生まれている。一際大きな歓声があがった『F.T.T.T』のMCでは、「似たようなバンドは今日2組いるけど、曲数が多かった方がcoldrainで、お喋りが多くて曲数が少なかったのがマキシマム ザ ホルモン!」(Masato)と、なぜか突然のディス(笑)。再び火が点いた『NO ESCAPE』でどんどんサークルの大きさが増していく中、Y.K.C(g)が今日の出演者の中で一番早いギターソロをお見舞いし、さらに拍車をかける! スピーカーに腰を下ろし、「回れ! 踊れ!」と指示を出しては悪戯に笑うMasato。その視線の先にいる多くの観客の笑顔を、GIGANTIC STAGEを、coldrainは完全に掌握していた。

photo by 日吉”JP”純平

 

2日にわたり熱いライブが繰り広げられてきた『ジャイガ』もとうとう終盤戦。先鋒を務めるのはゲスの極み乙女。という、先のcoldrainとは真逆のカード。ほな・いこか(ds)に呼び込まれて続々とメンバーがステージに上がり、「ジャイガ躍れますか?」(川谷・vo&g)と、4つ打ちが心地いい『猟奇的なキスを私にして』が鳴らされ、“「それはやっぱ僕のもの」「それはやっぱ私のもの」”と、川谷とオーディエンスが交互に歌う姿が愛おしい。『ロマンスがありあまる』では、ちゃんMARI(key)が弾く鍵盤の音が花びらのように会場内を舞ったかと思えば、「日に日にフェスが似合わないバンドになってきてるんですけど」と、川谷は自虐ネタをごちる。しかしその後の『秘めない私』でのほな・いこかとのツインヴォーカルで、新たなゲス極の顔を見せてくれた。そしてついに休日課長のベースソロタイム! スラップ、指弾き、顔弾きがステージ横の大画面にも映し出され、笑いが起きる(笑)。いつもは飄々としている川谷の口から「ジャイガ最高!」と零れたのもつかの間、ラストの曲となる。客席は落胆を隠せなかったが、『キラーボール』と分かった途端に歓声が上がり、別れを惜しみながらゲスの極み乙女。のステージを存分に堪能していた。

photo by 日吉”JP”純平

 

GIGANTIC STAGEからEPOCH STAGEまで、マキシマム ザ ホルモンの復活を祝う腹ペコたちで埋め尽くされた舞洲・太陽の広場。ナヲ(ドラムと女声と姉)が先頭を切ってステージに登壇した途端、割れんばかりの歓声があがり、ダイスケはん(キャーキャーうるさい方)の「『恋のメガラバー!!』」というタイトルコールでのっけからキラーチューンをぶっ放す! あっという間に出来上がっていくモッシュサークルや合いの手など、今日一番の盛り上がりを見せるオーディエンスの一体感は、ナヲが思わず「すごいやん!」と零すほど。「ちょっとさっきほな・いこか(ゲスの極み乙女。・ドラム)として赤い服着て出てて…」と、ナヲワールド全開のMCもそこそこに、「三度の飯より飯が好き!」という合言葉を皮切りに、『maximum the hormone Ⅱ』『「F」』と、ゴリゴリに攻めまくる。途中、ダイスケはんが件のcoldrainのMCに触れ、「ちょっとナヲが喋り過ぎやから、上沼恵美子に見えてきた。ここでちょっと比較してみましょう!」と、まさかのモニターに比較画像が(笑)。ひとしきり笑いをさらった後は『爪爪爪』『絶望ビリー』など鉄板曲を連発し、最後まで一気に駆け抜けた。「ありがとうジャイガ! また遊ぼうぜ! マキシマム ザ ホルモンでしたー!」(ナヲ)と、満面の笑顔でステージを後にする彼らに、いつまでも拍手が贈られていた。

photo by 浜野カズシ

 

そして、今めきめきと実力を付けているsumikaが、2年越しの『ジャイガ』でメインステージに返り咲く! 「外だったらどんなに大きい音出しても怒られないから、めちゃめちゃ大きい歌を、音楽を作ろうぜ!」(片岡健太(vo&g。以下、片岡))と、気合も十分に『「伝言歌」』でしっかりオーディエンスの心を摑む。『ふっかつのじゅもん』で疲れ気味の舞洲に最高の癒しを贈った後は、「参加賞ではなく1等賞を獲りに来ました!」と、キラーチューン『フィクション』、“思い思いの夏をそれぞれ楽しめばいい”と歌う、まさに今この情景にぴったりの『マイリッチサマーブルース』を立て続けに披露。極め付けはTVアニメ『MIX』の初代主題歌に抜擢された『イコール』が届けられる。黒田隼之介(g)の澄んだギターの音が沁みわたり、空を見上げれば陽が沈み白い三日月が浮かぶグッドシチュエーションを、ここまで機能させたセットリストは、sumikaのニクい演出だ。「大阪は特別な場所で好きな人も多い。だから大阪に来るといつも一層気合が入る。“sumikaのライブを観たから人生変わった”って思ってもらえるように、今までの全部をぶつけて帰りたいと思います。愛を込めて」(片岡)――最後に最高の贈り物『Lovers』で、舞洲を幸福な時間で満たしてくれた。。

photo by 日吉”JP”純平

 

ついに訪れたGIGANTIC STAGE大トリを飾るのは、大阪と言えば間違いない、ウルフルズ! 1発目から大名曲『バンザイ~君を好きでよかった~』から始まると、会場からの大合唱が舞洲の夜空に響き渡る。大人の色気を感じさせるトータス松本(vo&g)のスティールギターが光った『ワンツースリー天国』は、“人生楽しんだもの勝ち”と音楽で伝えてくれているかのようだ。初出演の会場のあたたかい反応に照れくさそうなトータス松本が「ありがとう」と、一言放った後に爪弾かれたイントロは『サムライソウル』!。オーディエンスからも喜びの声があがり、さらには『笑えれば』が続くといった嬉しいサプライズに会場に笑顔が溢れる。だが、「ちょっと選曲渋過ぎたわ(笑)」と、トータス松本の天然ぶりをいじる冗談交じりの3人のMCが、何とも微笑ましい。そうして「またウルフルズも観に来てね。ジャイガも大阪も盛り上げていこう!」(トータス松本)と、ラストに放たれたのは人類史上最大の肯定ソング『ええねん』で、再び大合唱のリレーが続く。嬉しそうにステージで音楽を奏でる3人の姿は、まさにバンド少年そのもの。まだまだウルフルズを、音楽を聴き足りない名残惜しさを残しつつ、今年も『ジャイガ』は、舞洲に訪れた全ての人々とともに最高の夏の思い出を、宝物となる時間を作り上げてくれた。

photo by 日吉”JP”純平

 

 

text by 松川沙織