エレファントカシマシ

エレファントカシマシが戦い続ける理由。

8/5 SUNMAISHIMA STAGE

エレファントカシマシは、ずっと戦っている。30年前のデビューアルバム「THE ELEPHANT KASHIMASHI」のオープニングナンバーは「ファイティングマン」であり、昨年行われたバンド史上初の47都道府県ツアータイトルも昨年リリースのオールタイムベストアルバムタイトルも「THE FIGHTING MAN」。昨年末紅白歌合戦にも初出場した充分なキャリアのバンドが、ずっと戦っている。ずっと戦っているという事は、ずっと休んでいないという事。3月には、さいたまスーパーアリーナでワンマンライブとMr.Children、スピッツとの対バンイベントを2日連続で行っている。で、春フェスにも出て、6月にはオリジナルアルバムをリリースして、そのアルバムツアーも行ない、この「ジャイガ」含め、夏フェスにも毎週の様に出演。ちなみにボーカルの宮本浩次を始め、メンバー4人は同級生なので全員52歳の学年。


今年は例年以上に猛暑、いや酷暑で「ジャイガ」のエレファントカシマシ出演時間帯も35℃以上…。そんな中、初っ端から「Easy Go」、「奴隷天国」、「RAINBOW」と彼らの中でも激しく速い楽曲が続く。それも黒いスーツ、ジャケットを脱ぐと白いシャツが汗でビショビショなのがわかる。眼ん玉をひん剝き、「あくびして死ね」などと叫ぶ。「奴隷天国」は25年も前の楽曲だが、いつだって歌う時は本気で、そう想って叫んでいる。
ジャイガ2日間中、余裕で最年長の宮本。今日、珍しく年齢について言及するシーンがあった。サポートギタリストのヒラマミキオを紹介するに当たり、52歳の自分たちより10歳若いと説明して、その後、「52歳…、どうでもいいですけど。でも、気にしてる証拠ですね」とつぶやく。そして、ここからだ。次の楽曲「旅立ちの朝」へ行く前に、「やってやるぞ! 男たるもの勝つぞ! そういう歌です」…、ちなみに最新アルバムの収録曲である。つまり、52歳の今、まだ勝ち続けたい。イベントもフェスも或る意味、対バンである。どの対決も落とす気が無い。そんな思考でいたら、そりゃ、ずっと戦い続ける事になるだろう。


今日も歌った「ガストロンジャー」で、「俺は折角のロックンロールバンドだ。あいつらの化けの皮を剥がしにいくってことをなあ、さっき自問自答の末結論した」というくだりがある。今日も「化けの皮を剥がしにいこうぜ!」と連呼していた。その連呼は「あいつら」だけでなく、「俺」、つまり己自身にも向いていたのが、何よりも怖い。常に他人と戦って勝とうとしているだけではなく、常に己とも戦って勝とうとしている。最後もメンバー全員ステージ中央で挨拶する際、集まる速度に「遅い! 遅い! 歳だから、みんな! 動きがもう!」と冗談交じりとはいえ、漏らしていた。これだけ凄いライブを炎天下40分もした後ですから、誰も文句言わないですよと想うが…、そんなストイックなロックンロールバンドマンだから大好きなのだ。そして、エレファントカシマシに誰も敵う訳が無い。

Writer:鈴木淳史、Photo:日吉“jp”純平