ASIAN KUNG-FU GENERATION

アジカンが大トリのステージで放った今鳴らすべき音楽

8/4 SATMAISHIMA STAGE

すっかり陽も落ちたMAISHIMA STAGEのビジョンに、その名が浮かび上がるや場内は大歓声。ジリジリとビートを刻むシンプルなリフが誘う『センスレス』で幕を開けたASIAN KUNG-FU GENERATIONのステージ。その9年後に発表された『スタンダード』と続くセットリストは、20年を超えるキャリアからピックアップされた今鳴らすべき音楽のごとく、舞洲の闇夜にゆっくりと広がっていく。日中の暑さが嘘のように過ごしやすくなった時間帯に、やわらかなコーラスワークも心地よく響く。

「今日はどこかで花火も上がってるみたいだけど(=『第30回 なにわ淀川花火大会』)、こんな音楽の、ロックのフェスを選んでくれてありがとう。俺たちもみんな以上に楽しむつもりなので、自由に踊って楽しんで帰ってください、よろしく!」(vo&g・後藤、以下同)

中盤戦は、結成20周年を迎えた2016年に再レコーディングされた、彼らの代表作であり日本のロック史に残る名盤『ソルファ』からの楽曲が続く。『Re:Re:』、そして『リライト』のギターリフには再び歓声が上がり、今日イチの大合唱が舞洲に巻き起こる。『リライト』が世に出たのは2004年。14年という時を超え問答無用に鳥肌を立たせるそんな名曲を披露した直後に、「俺たちは年内にアルバムを出すんで、来年にはツアーをやるんで、どこかの会場で会えたら嬉しいです」と語る、歩みを止めないこのバンドのまなざしが何とも頼もしい。

アニメ映画『夜は短し歩けよ乙女』の主題歌となった『荒野を歩け』、どっしりとしたビートが導く『今を生きて』と、シンプルな演奏に自ずと説得力が宿る楽曲群を聴かせた後は、沸き立つアンコールに呼び戻され再びステージへ。

「おじさんたちのバンド、結構いいでしょ?(笑) あと10年は悪あがきするんでよろしく! じゃあ(伊地知)潔のドラムで始まるやつを」と、最後の最後は名曲『君という花』を。リフ、リズム、全てに音楽の力が備わったような楽曲が、初日の終わりを告げる夜空に染みわたっていく。彼らがステージに残したフィードバックノイズは、『ジャイガ』という最高の1日の余韻のようにいつまでも鳴り響いていた。

Writer:奥“ボウイ”昌史、Photo:日吉“jp”純平