チャラン・ポ・ランタン

“チャラン・ポ・ワールド”全開!真っ赤に燃える太陽もひれ伏す、熱狂の渦が舞洲で炸裂

8/4 SATYUMESHIMA STAGE

「よっ!待ってました!!」と叫びたくなるほど、スタート前からボルテージをギンギンに上げ、最後の最後までおなか一杯なまでに痛快なライブエンタテインメントを繰り広げたのは、唄とアコーディオンの姉妹ユニット、チャラン・ポ・ランタン。

 

リハーサルから、海原千里・万里の「大阪ラプソディー」を、妹のもも(Vo)が人情味たっぷりに歌って、観客の心を鷲掴み。距離をグンと縮めたところで、本編を『ページをめくって』でスタート。ステージに立っているのは、姉の小春(Accordion)と二人だけ。なのに、なんて色とりどりの音がステージを駆け巡ることか。あっという間に舞洲が、極彩色の“チャラン・ポ・ワールド”に変化する。

早速MCに入ったかと思えば、不機嫌そうな小春が、「気持ちはみんな一緒だと思う」と切り出した。何を言い出すのかと思えば、「電車を降りた瞬間から。なんなら、昨日からかな…、みんな思ってたと思う。…………暑くないか?」と、身も蓋もないことを問いかけ、思わず観客たちも吹き出す。例をみない猛暑。そりゃもう暑い、みんなが思っていたことだ。そのまま「正直、そんなに夏は好きでもないだろ?そうだろ?正直言うと私は……………、嫌いだーっ!」と叫んで、“ヒキコモリ!ヒキコモリ!”のコール&レスポンスが巻き起こる『ソトデナイ』へ。ベイ・シティー・ローラーズの名曲『サタデーナイト』を替え歌にした楽曲で、“く、く、く、く、くそ暑い~!”なんて歌うもんだから、観客もこの暑さをブッ飛ばすように大合唱。夏フェスの真っ最中に、“夏フェスなんてとんでもねぇよ”と歌われ、それが盛り上がるという真逆な状況がおもしろすぎ、楽しすぎる。

 

ユニークな曲から今度は、ももが「しっとりとした曲を」と『ほしいもの』がじっくりと歌われ聴き耽る観客たち。もものノスタルジックで、センチメンタルな歌声がより冴えわたる。続けて、大人気ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』のオープニング曲『進め、たまに逃げても』も披露され、観客のテンションを増幅。このままの勢いでラストスパートに、と思いきや、二人が何やら耳打ちして打ち合わせ。何だ何だと様子を伺ってみると、最後に披露されたのは、エディット・ピアフの『愛の讃歌』のカバーだった。

それも、ももが観客の写真撮影を解禁したかと思えば、セキュリティのお兄さんを呼びつけ肩車してもらい、ステージを飛び出してフロアを練り歩きながら歌われたのだ。これには会場もぶち上がり。マイクのコードが届くギリギリまで観客の元へと突き進み、最後はパワフルな歌声を地声で届けた。曲が終わると、見渡す限りの観客が拍手喝采をおくる一体感と高揚感に、ガッツポーズせずにはいられなかった。観客を根こそぎ巻き込んだ展開が、そりゃもう痛快の極み、だった。

 

余韻に浸りながら、「はぁ~、堪んないなぁ堪んないよ」と頭を抱えるほどいいライブ。「ワンマンどんなだろ、みたいなぁ」とスマホでスケジュールをすぐ調べたくなるほど、いいライブ。それぐらい魅力的なライブを、観客の心にしかと焼き付けた。

Writer:大西健斗、Photo:森好弘