浅井健一
ソロもバンドものセトリに感涙。 存在=ロックのフェスステージ。
8/5 SATPALM STAGE
アコースティックギターを片手に鍵盤のサポートを引き連れ、強い日差しの中、不敵に現れたベンジー。いでたちだけでも既に十分にロックだ。
…が、響いてきたのはピアノとギターの音にどこか清らかさも漂う『海を探す』。優しい肌触りから始まるも、緩急ある展開にじわじわっと内側の熱が上がっていく。そこから今度はカッティングでさらに気温を上昇させるように『ペピン』へ。オーバーラップする、リズムを取るブーツの足元の映像もなんともしびれさせてくれる。甘くも鋭くもある彼らしいボーカルが際立つナンバーに続けて、さらに“ベンジーワールド”に誘うのは『ゴースト』。三拍子にのせて繊細に揺れるギターと、どこか不安定さをはらんだメロディに包まれる会場はまるで白昼夢のようだ。
そんななか少しざらつきもある声で畳みかけ、エモーショナルな盛り上がりをみせる『ひょっとして』、さらに幸福感も感じさせる『ハラピニオ』へ。このベンジー流のポップは、数々のストーリーを持つ彼だからこその温かみがたまらない。“ラララ”のコーラスさえも体に絡みつくようだ。そしてラストはキレがありつつも、腹にくるギターと叫ぶようなボーカルで『プラネタリウム』を。会場にはクラップも起こり、最後の最後までベンジーのロックを全員で堪能した。
ソロ、BLANKEY JET CITY、SHERBETS…各時代のナンバーが並ぶセットリストがフェスらしく大いに喜ばせてくれたステージは、バンドじゃなくても、踊らなくても、コールがなくても、聴きごたえがたっぷり。ベンジーはやっぱり今日もかっこよかった!
Writer 服田昌子、Photo 日吉”JP”純平