サウンドチェックで『Boys&Girls』の演奏が始まると、ステージに引き寄せられるように人が集まってくる。踊るようなピアノにすでにわくわくする気持ちが走り出しそうだ。いったんステージから去った3人が再び登場し、オープニングは『僕らの永遠』から『Hard to  say I love you～言い出せなくて～』。鍵盤に覆いかぶさるぐらいに上半身を前傾させる杉本の白熱したプレイに、観客も大きな声援で応える。

「WEST GIGANTIC CITYLAND楽しんでますかー！記念すべき第1回に出演できてうれしいです！」（杉本）とのMCに続き、「海のそばでライブができるのはうれしい」と、次の曲『海のある街』を紹介。神戸出身の彼らが神戸港の開港150周年を祝って書いたこの曲では、まぶしい西日に照らされる中、キラキラした海や言葉も出ないほどにきれいな神戸の夜景を瞼の裏に描き出す。『S.O.S』、『くちづけDiamond』と曲が進み、歌が進むにつれて杉本の歌声はどんどん発色が強くなり、ブレない強さとしなやかさを増していく。

客席のはるか後方を見つめ、声の矢を飛ばすように放たれるその歌声はきっとどんなに遠くへも飛んでいけるんだろう。「関西で新しいフェスが始まって、いろんなジャンルの方が参加している中に自分たちも一員としていられることがうれしい」（杉本）と話しながら、今後こういったフェスが続いていく中で時には変わっていく勇気も必要だと思う、と言葉をつなぎ「新しいWEAVERを見せたい。そんな新曲ができました」と最後に『だから僕は僕を手放す』を披露。まさにこれぞピアノロックといいたくなる3人の力のこもったワイルドなプレイと、ドラマチックな歌詞世界に加えてさまざまな隠し味がハイブリッドになったこの曲は、新しいWEAVERを見せつつ聞き手の背中をぐっと押してくれる曲でもある。

最後は3人がステージ前に並び、深々と頭を下げ客席に大きく手を振ってステージを後にした。移動中、前を歩いていた男性数人のグループが「最後の新曲めっちゃかっこよかった！」と大いに盛り上がっていた。そう、WEAVERは同性のファンも多くこの日も男性ファンが拳を突き上げる姿が本当に目立っていた。

Writer 梶原有紀子、Photo Shingo Tamai