WEST GIGANTIC CITYLAND 2017 ジャイガ

Gotch & The Good New Times

心地よい風に吹かれてどこまでも旅に出たくなるような音楽を心ゆくまで堪能

8/6 SUNPALM STAGE

ご存じASIAN KUNG-FU GENERATIONのフロントマン、後藤正文(vo&g)率いるGotch&The Good New Timesが、昼下がりの心地よい時間にPALM STAGEに登場。Gotchは現れるなり、渋いキメ顔で客席に向かって軽やかにピース。刺すようだった日差しも幾分弱まり、海からの風も感じる中、Gotch含め7人がステージにスタンバイ。

1曲目の『Paper Moon』はachicoのコーラスがゆらりと広がる中、くっきりとしたGotchの歌声が色を加えていく。適度に隙間の空いたサウンドやリズムをとりながら気持ちよさそうに体を揺らし踊るGotchの姿に、自然とこちらも肩の力が抜けて音楽をゆったりと楽しむ準備が整っていく。続く『Wonderland』は、Gotchの歌とラップのようなスポークンワーズのような語りが、柔らかな響きを持って耳に飛び込んでくる。柔らかだけど、耳に飛び込んでくる言葉は実は鋭くて、ヌルく過ぎていく日常を涼しい顔して一刀両断するようですらある。

「暑い中、どうもありがとう!拳をつきあげるような曲は1曲もないけど、ゆるい感じなんで、最後までゆらゆら楽しんでいってね」(Gotch)と声をかけ、最新曲である『Taxi Driver』へ。Gotchはギターを置いて、手にはマイク。“街のほころびを結ぶように”というフレーズが印象的なこの曲も、Turntable Filmsの井上が奏でるからりとしたバンジョーがさわやかな『Good New Times』での、“何もないなら何でもありだぜ”、“どこへでも行けるさ 旅がはじまるさ”という一節も、楽しげな中にも孤高の強さや覚悟のようなものを感じさせる。

 

それらが、軽やかに舞うような音に乗ってすとんとこちらに伝わってくる。最後はメンバー7人全員がステージ前に一列になり、肩を組んで一礼。ステージ前方に陣取って聴いていた人も、寝転がってステージを眺める人も、座って聴く人、立ち上がる人、誰もが心地よい音に体を揺らしていた。準備なんてしなくても、ただ流れてくる音に身を任せていればいいんだよ。まるでGotchはそんなふうに歌っているようだった。

 

Writer 梶原有紀子、Photo Shingo Tamai


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