照り付ける日差しが強くなってきた午後。ステージ裏から掛け声が聴こえるとともに、ステージ上にKenT(ds)、Yoma(g)、サポートの奏(b)、そして紅一点のLuiza(vo)の順に姿を現し、「ありがとう！　今日は盛り上がっていこうぜー！」(Luiza)と『Open Up My Heart』で弾けるようにスタートを切る。透き通った、それでいて潤んだ声が真っ直ぐに会場へ届けられ、既に全ての熱が高みへ達していく中、奏がベースをフラフープの如く回転させるまさかのパフォーマンスを平然とぶっ込み(笑)、Yomaとともにキュートな振り付けでロックサウンドを掻き鳴らしながら、高揚する気持ちを焚き付けていく。

来場者の体調を気遣うMCの後に届けられたのは『This Is How We Riot』。フロントマンであるLuizaの、轟く音の渦に全く埋もれない、それでいて一切の違和感を感じさせないその天性の歌声は、アグレッシブに、時にドキッとするような表情をたっぷりと見せつける。それを支える楽器隊が、彼女に決して引けを取らない個々の存在感を放ちながらも、一心同体となってこれぞ”王道”と言えるバンドサウンドを生み出していく。

「誰かが突然(この世に)いなくなることは受け止められないし、とても辛いけど、その辛い気持ちを手放していこう。その子はずっと”心の中”で生きていくから──」(Luiza)

切々と、大切に言葉を選びながら『Let Go』に込められたメッセージを語り、もう2度と会うことが叶わない人を想いながら前へ進もうという強い意志を儚げに、痛みと寂しさ、やりきれない気持ち全てを内包した歌声で、聴く者の心をグッと掴む。まるで誰もが1度は経験するであろう永遠の別れへの後悔や自責の念を、１つひとつ浄化していくように──。

しっとりと聴かせた後、早くも迎えたラストに贈られるのは、葛藤しながらも強く生きていくしなやかさを感じさせる『Bloom』！　ご機嫌なリズムに合わせて飛び跳ねるYoma＆奏コンビが復活し、気持ちの昂りを隠し切れないKenTのドラムがさらに追い打ちを掛け、煽るLuizaとそれに応えるオーディエンスもいっしょくたになり、The Winking Owlの最高のステージを飾る。

今の彼らが表現し得る全ての力を出し切り、その場にいた全員に忘れられない夏の想い出を刻んでくれた。

Writer 松川 沙織、Photo HOSHINA OGAWA