COAST STAGEのトップを飾ったのはBase Ball Bear。オープニングに鳴り響いた『short hair』は、立っているだけでも汗がしたたり落ちるほどの熱い日差しを一瞬忘れさせるほどの中、小出（vo&g）のボーカルはつややかながらもクールでひんやり。間奏ではサポートメンバーの弓木（g）と小出が、熱いギターバトルをにこやかに繰り広げる場面も。

続いて、間髪入れずに堀之内（ds）のカウントに乗って『LOVE MATHEMATICS』！イントロが始まった瞬間、ひときわ大きな歓声が上がり、ステージに向かって伸びる手やジャンプする姿も一気に熱を帯びる。Base Ball Bearの音楽の中にずっと息づいている青い衝動のようなものが、疾走感あふれる曲調に乗って痛いほどビシバシ感じられるこの曲が、こんなにも夏に似合うなんて。

「どうもありがとうBase Ball Bearです」（小出）とあいさつした後、「今日は最高気温38℃ということで、僕らがこれまでに出たフェスの中でも一番暑いんじゃないかな…だって、38℃って音楽聞く気温じゃないですよ(笑)」と、小出がマジメに話している背後では堀之内が立ち上がり、表情筋を総動員して様々な顔芸（？）を披露するなどステージ上にはいつものワンマンのような空気が。最新アルバム『光源』から、2017年現在の彼らの青春感ともいえる突き抜けた曲『逆バタフライ・エフェクト』に続き、太くうねるベースが終始気持ちいいファンキーなダンスナンバー『十字架You and I』。瞬間的に小出にマイケル・ジャクソンが憑依したシャウトももちろん聞かせてくれ、最後は『CRAZY FOR YOUの季節』を。

先ほどのMCで小出が「こんな暑い中で音楽を楽しもうなんて、みなさん、ちょっと頭おかしいですよね(笑)」と敬愛をこめて会場を見渡し話していたことを思い出す。CRAZY FOR YOUの季節がざわめく潮騒のようで、と歌うこの曲に、うだるような暑さが昇華されていくような、聴いているこちらまでが心地よく解き放たれていく瞬間を見た。暑い暑い夏だからこそ沁みる青いきらめきや青春の衝動をBase Ball Bearが体感させてくれた。

Writer 梶原有紀子、Photo Shingo Tamai